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2005/02/19

さよなら妖精

さよなら妖精
米澤 穂信

東京創元社 2004-02
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   『さよなら妖精』(米澤穂信 東京創元社)を読みました。この作者の本は以前読んだ『氷菓』についで2冊目です。

 私はあまりミステリーは読みません。なんとなく好きじゃないのです。『氷菓』はその題名と、第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作っていうのにひかれて読んでみました。おもしろかったんだけど、ミステリー抜きの青春物をこの作者で読みたいなって思いました。ミステリー好きじゃない私としては。

 『さよなら妖精』は、ミステリーっていうより青春物だってことなので、読んでみました。

 すごい衝撃でした。胸が痛いよ。読み終わったあとはしばしぼう然。読み終わったとき側に人がいたんだけど、あれひとりだったら絶対泣いてたな。ショックはしばらく尾をひいてました。でも読んでよかったです。きっぱりと断言できます。

 ミステリーにネタバレはご法度だと思うんですが、避けてると感想書けないんで……え~いっ!ネタバレ注意報!


 1991年春、守屋路行は地方都市に住む高校3年生。ひょんなことでユーゴスラビアから来た少女マーヤと知り合います。守屋と文原竹彦、太刀洗万智、白河いずるはマーヤと時を過ごします。マーヤは自分の国と日本との違いにとても興味を持っていて、『哲学的意味がありますか?』っていうのが口ぐせ?です。彼女から見ると、日常生活にも謎が隠れていて、それを守屋が解いたりすることも。マーヤと過ごした2ヶ月、守屋は自分が少しずつ変わっていっていることに気付きます。帰国するマーヤに守屋は同行したいと言いますが、断られます。

 マーヤが帰国して1年後の夏、大学生になった守屋と白河は、彼女がユーゴスラビアのどの国に帰ったのかを知りたくて、記憶をたどります。ユーゴで起こった内戦。彼女は無事なのか。

 そして守屋は結論にたどりつきます……。


 淡々とした筆致で丁寧に描かれていくマーヤと少年少女たちの日常。登場人物たちも、高校生にしては落ち着いてます。全体的に静かな印象を受けるんですが、それがラストに『効いた』と私は思います。主人公に共鳴しちゃいました。自分もマーヤや守屋たちと一緒に過ごしていたような、思い出を共有したようなそんな気持です。だからぼう然としたんでしょう。

 ただ、ミステリー抜きだったらよかったのにって思います。ラストの謎解きはそのままでいいけれど、前半のおもちの話とか、いずるの名前の由来とか。ストレートな青春物で読みたかったです。ミステリー要素に邪魔されてるっていう気がしました。まあ、これは私がミステリー好きじゃないからだろうな。

 このお話はたくさんの人に読んでもらいたいです。いろんな世代の人に。特に中・高校生に読んでもらいたいかな。守屋が日常感じてる焦燥感と虚無感は実感してるだろうし。彼と一緒にラストで胸を痛くして、その後よく考えてほしいな。

 またちょっとネタバレです。

 後半ユーゴの内戦について書かれてるんですが、ERのルカの国クロアチアもでてきます。ルカの家族が亡くなった都市ブコバルの名前も。当時テレビや新聞で報道されてるのを見ても、自分はどうしても『海の向こう』って思ってたところもあったんじゃないかと思います。でもERを見たり、今回この本を読んだりしたことで、現実感が増した気がします。ふたつともフィクションなのに変な話ですが。だけどフィクションの使命(っていうとおおげさかな)として、そういうこともありかなと思います。 

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